研究と効果

ベアフットシューズの効果は研究でどこまで確か?足の筋力とケガ

ベアフットシューズの効果として研究で示されているのは、主に足の筋力が増える可能性までで、確実性は低いです。ケガの予防や症状の改善は示されていません。研究ごとに対象者、期間、歩行か走行かを添えて説明します。

公開 更新 文

  • 研究
  • 効果
  • ランニング

ベアフットシューズで足は強くなるのか、ケガは減るのか。研究で示されているのは、主に足の筋力が増える可能性までです。筋力についての証拠も確実性は低く、ケガの予防や痛みの改善は確かめられていません。このページでは研究ごとに、誰を対象に、どんな条件で何を測ったのかを添えて紹介します。

研究の多くは「ミニマリストシューズ」と呼ばれる靴を使っています。底が薄くて曲がりやすく、軽い靴です。前後差(かかととつま先の高さの差)が小さく、足を支える部品もついていません。ベアフットシューズの定義で説明している靴とほぼ重なりますが、研究ごとに使った靴は同じではないんです。

研究で分かっていることと、分からないこと

研究論文の束と、ベアフットシューズ
イメージ(生成画像)


研究から言えることは、次の3点です。

  • 足の筋力は増える可能性がある。ミニマリストシューズで歩いて足の筋力が増えた試験がある。ただし複数の試験をまとめたレビューでは、証拠の確実性は「低い〜非常に低い」
  • 走る人は切り替えの時期にケガに注意が要る。ランナーがミニマリストシューズに切り替える時期は、ケガのリスクの上昇と関連していた。ケガを減らす効果は示されていない
  • 症状への効果は分からない。姿勢、腰痛、外反母趾などの症状がよくなるかは不明。症状がある人を対象に痛みや症状の変化を調べた研究は、このページで紹介したものにはない

今の研究から考えると、ベアフットシューズは「健康のための道具」として選ぶより、作りの違いが好きで選ぶくらいが無理がないと僕は思います。

このページで紹介する研究を、下の表にまとめました。歩いた研究か走った研究かは、分けて読んでください。

研究対象期間・内容主な結果
Ridgeら 2019ランナー57人8週間。靴を替えて歩く足の筋肉の大きさと筋力が増えた
Peters-Dickieら 2025(レビュー)28試験・1,399人4週間以上の試験をまとめた足指の筋力が高まる方向。確実性は低い〜非常に低い
Gabrielら 2024健康な若年成人28人(靴を替えたのは14人)4週間。靴を替えて歩く足の姿勢の指数と片足立ちのバランスが変わった
Abranら 2026かかとから着地するランナー140人12か月。走るケガの発生率に差はなかった
Sánchez-Del Ríoら 2026(レビュー)ミニマリストシューズ未経験の健康なランナー4週間以上かけて切り替えて走るケガのリスクの上昇と関連していた
Firminger・Edwards 2016健康な若い男性14人1回の測定。走る膝の負荷が下がり、足首と足指の付け根の負荷が上がった

足の筋力は増える可能性があるが、確実性は低い

足の筋力を連想させるトレーニング用具とベアフットシューズ
イメージ(生成画像)


ミニマリストシューズで歩いて足の筋力が増えた試験があります。複数の試験をまとめたレビューでも、足指の筋力は高まる方向の結果でした。ただし、証拠の確実性は「低い〜非常に低い」と評価されています。

Ridgeらの2019年の試験では、ランナー57人を3つの群に分けました。ミニマリストシューズで歩く群、足の筋トレをする群、どちらもしない群です。3群とも、普段の走る量は変えていません。歩く群の人は、ミニマリストシューズで歩く1日の歩数を週ごとに増やしました。

8週間後、歩いた群と筋トレの群では、測った足の筋肉の大きさと筋力がすべて増えました。どちらもしない群は変化なしです。この試験から言えるのは、ランナーがこの方法で8週間歩いたら足の筋肉が変わった、というところまでです。運動習慣のない人が同じだけ変わるかは、この試験では調べていません。筋力が増えて痛みやケガが減るかどうかも、調べられていないんです。

Peters-Dickieらの2025年のレビューは、4週間以上続けたランダム化比較試験(参加者をくじ引きのように群へ分ける試験)を集めたものです。集めた試験は28本、参加者は計1,399人でした。この人数には足の運動を調べた試験も含まれていて、靴を調べた試験だけの人数ではありません。

靴についての分析では、親指以外の4本の足指で筋力が高まっていました。ただし研究の数が少なく、研究の進め方に偏りの恐れもあります。そのため、証拠の確実性は「低い〜非常に低い」と評価されました。筋肉の大きさについては、結果がばらついています。文献の検索は2024年3月までなので、次の節のGabrielらの試験は含まれていません。

とはいえ、「効果がない」と決まったわけでもないんです。筋力が増える可能性は示されています。ただ、誰にでも同じ変化が起きると見込める段階ではありません。僕は今のところ、「足の筋力が増えるかもしれない」くらいに受け止めておくのがちょうどいいと思います。

研究で使った靴の簡素さも、研究ごとにまちまちです。手持ちの靴が研究の靴にどれくらい近いかは、靴の簡素さを測る5項目で見比べられます。

4週間の歩行試験で、足の形とバランスの一部が変わった

バランスを連想させる細い木の平均台と、ベアフットシューズ
イメージ(生成画像)


若年成人が4週間ミニマリストシューズで歩いたところ、足の姿勢を表す指数と片足立ちのバランスが変わった試験があります。ただし、この試験は体全体の姿勢がよくなることを示してはいません。

Gabrielらの2024年の試験の参加者は、普段1日5,000歩以上歩く健康な若年成人28人(平均25歳)です。靴を替えたのは14人で、残りの14人はいつもの靴のままでした。靴を替えた人は、初週に普段の歩数の約3分の1をミニマリストシューズで歩きました。痛みなどの問題がなければ、2週目以降は1日最大5,000歩まで増やしています。

4週間後、靴を替えた群では、足の姿勢を表す指数(Foot Posture Index)と片足立ちのバランスが改善の方向へ変わりました。この変化は、靴をやめて4週間たっても残っています。一方で、土踏まずの硬さを表す指数と、足と足首の動く範囲は変わりませんでした。著者らも、足から離れた部位に長く続く効果は期待すべきでないとしています。

この結果を自分に当てはめるときは、参加者の条件に注意してください。普段の歩数が1日5,000歩未満の人、ふだん走っている人、足の変形や痛みがある人は参加者から除かれています。普段あまり歩かない人や症状がある人に、同じ結果が出るとは言えません。靴を替えた群から痛みなどの報告はありませんでした。ただ、14人の試験で、安全性を確かめるための設計にはなっていないんです。

ケガを減らす効果は示されず、切り替えの時期にはリスクが上がる

陸上トラックに置いた薄底のシューズと、保冷剤と包帯
イメージ(生成画像)


ベアフットシューズ(ミニマリストシューズ)でケガが減るという結果は出ていません。ランナーが切り替える時期には、ケガのリスクの上昇と関連していたというレビューもあります。

Abranらの2026年の試験では、かかとから着地する市民ランナー140人を3つの群に分け、12か月にわたって調べました。ミニマリストシューズを渡す群、柔らかく走る練習をする群、ストレッチをする対照群です。走ることに関係したケガの発生率は、3群で差がありませんでした。群によって違ったのは、ケガの部位の分かれ方です。一部の解析では、対照群で股関節のケガが、走り方の練習群で足のケガが多くなっていました。

Sánchez-Del Ríoらの2026年のレビューは、ミニマリストシューズを履いたことのない健康なランナーが、4週間以上かけて切り替えた研究を集めたものです。集めたのは12研究で、数値をまとめた分析には7研究・313人が入っています。

このレビューの結論は、ミニマリストシューズへの切り替えがケガのリスクの上昇と関連していた、というものです。著者らは上昇の程度を「中程度」と表現しています。多かったケガは、足の甲の骨(中足骨)のあたりの骨髄浮腫(骨の中のむくみ)、アキレス腱の障害、ふくらはぎの痛みでした。これらのケガは、つま先側から着地する走り方に変わったことと関係していました。そのうえで著者らは、少なくとも12週間、指導を受けながら段階的に切り替えるよう提案しています。

走る人ほど、効果を期待する前に切り替えの時期のリスクを知っておいたほうがいいと僕は思います。一方で、AbranらとSánchez-Del Ríoらの研究はどちらも対象がランナーです。散歩で同じようにケガが増えるかは分かっていません。

ただし歩く場合でも、靴を替えたあとで足の甲やアキレス腱やふくらはぎに痛みが出たら、休むか止めるかを判断してください。判断の目安は使用を止めるサインにまとめています。

歩いた研究と走った研究の結果を入れ替えない

散歩道とランニングトラックの分かれ道に置いた靴
イメージ(生成画像)


走る場合について研究で示されているのは、負担のかかる場所が変わることです。ケガを減らす効果は示されていません。歩いて慣れても、同じ靴ですぐに走ってよいとは言えません。走るなら、歩くのとは別に慣らす必要があります。

歩くときは、いつもどちらかの足が地面についていますよね。走ると両足が地面から離れる時間があり、着地で受ける力も、着地を繰り返す回数も変わります。

FirmingerとEdwardsの2016年の実験では、健康な若い男性14人が、比較用の靴とミニマリストシューズを履いて好きな速さで走りました。ミニマリストシューズでは、膝にかかる負荷の指標が平均7.3%下がっています。反対に、足首の指標は5.9%、足指の付け根の関節は7.3%上がりました。負担は膝から足首や足指の付け根へ移った、という結果です。測定は1回だけなので、履き続けたときにケガが増えるか減るかはこの実験からは分かりません。

研究を読むときは、歩いた研究の結果を走る場合に、走った研究の結果を歩く場合に当てはめないでください。

研究の種類分かること分からないこと
歩いた研究(Ridge、Gabriel)足の筋力や足の形の変化走れる距離、走ったときのケガ
走った研究(Abran、Sánchez-Del Río、Firminger)走ったときのケガや負担の場所散歩でのケガのリスク

僕なら、歩くのに慣れたあとでも、走るのは一から慣らし直すつもりで始めます。歩くのと走るのは、次のように分けて考えるのがいいと思います。

  • 新しい靴で走った時間と距離は、歩いた記録やいつもの靴での練習と分けて記録する
  • 散歩の時間を、そのまま走る時間に置き換えない。速さや坂道も一度に増やさない
  • Sánchez-Del Ríoらのレビューが提案する「少なくとも12週間、指導を受けながら」を踏まえ、ランニングの指導者などに関わってもらうことも考える
  • けがから復帰している途中など、個別の事情がある人は担当者の指示を優先する

歩く場合の増やし方は、散歩での慣らし方にまとめました。

症状がある人の研究はない

診察室の机に置いた聴診器と中敷き、ベアフットシューズ
イメージ(生成画像)


腰痛、外反母趾、扁平足、足底筋膜炎などにベアフットシューズが効くかどうかは分かっていません。ここで紹介した研究の中に、症状がある人を対象に痛みや症状の変化を調べたものはないんです。

研究ごとの対象者を見ると、RidgeらとAbranらの試験はランナーです。Gabrielらの試験は、足の変形や痛みがある人を除いた健康な若年成人でした。Sánchez-Del Ríoらのレビューは、ミニマリストシューズを履いたことのない健康なランナーを対象にしています。FirmingerとEdwardsの実験は健康な若い男性です。2025年のPeters-Dickieらのレビューが調べたのも筋力や筋肉の大きさ、動き方で、痛みの変化は扱っていません。

健康な人で筋力が増えたという結果から、症状がある人の痛みも軽くなるとは言えません。症状があって靴を替えたい人や、処方された靴や中敷きを使っている人は、先に担当の医療者に相談してください。

このページの確認について

研究の内容は、2026年9月30日に各論文の要旨で確かめました。Gabrielらの試験だけは全文を読んでいます。このページは、まだ医療者によるレビューを受けていません。新しい研究を反映するため、半年ごとに見直します。

参考にした研究・公式情報

記事を書くときに参照した研究や、メーカーなどの公式情報です。内容とリンクは、各資料に記した確認日の時点のものです。

  1. Ridge ST, et al. “Walking in Minimalist Shoes Is Effective for Strengthening Foot Muscles.”学術資料 確認日 2026-09-06
  2. Peters-Dickie J-L, et al. “The effects of foot core exercises and minimalist footwear on foot muscle sizes, foot strength, and biomechanics.”学術資料 確認日 2026-09-06
  3. Gabriel A, et al. “A four-week minimalist shoe walking intervention influences foot posture and balance in young adults—a randomized controlled trial.”学術資料 確認日 2026-09-06
  4. Abran G, et al. “Minimalist Footwear and Softer Running Technique Alter Injury Location but Not Incidence.”学術資料 確認日 2026-09-06
  5. Sánchez-Del Río E, et al. “Injury risk associated with the transition to minimalist footwear in runners: A systematic review and meta-analysis.”学術資料 確認日 2026-09-06
  6. Firminger CR, Edwards WB. “The influence of minimalist footwear and stride length reduction on lower-extremity running mechanics and cumulative loading.”学術資料 確認日 2026-09-06